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まるでどこか森の奥深くから何かが発光して、その僅かな光が空気のなかに分散し、こちらに合図を送っているような感覚。深いネイビーや茶色の世界にちらちらと見えるその光の正体は、杢糸に仕込まれた白い糸の色だ。杢糸は異なる色の糸を撚り合わせて作られるが、その片一方に使われる白い糸の番手を、通常よりも細くすることで、白が奥に入ったような撚り杢の生地の表情になる。
つまり、色差の中に番手差も加えるということだ。

 

 

 

 

そしてそこに、素材の風合い差もつけているのが今回のメランジチェーンツイル。柔らかなsuper120’sウールと、ハリ感のあるウルグアイウールをミックスさせる。
色差と番手差と、そして風合い差。

 

 

 

 

ちょっとずつずらしたそれらの差が、独特の奥行きと、重厚感がありそうな見た目、それに反する軽い質感、そしてツイードらしい温もりのある肌触りをもたらす。一つひとつの要素の中に少しずつ与えられた差が、合わさってはじめて差を埋め合い、成り立つ。
互いに異なる特徴や性質を持っているものが、密接に関係することで交歓し共鳴しあう。そして、新しい感覚へと変わっていく。そんな様を追い求めていきたい。