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編み地の中でも布帛に近いとされるミラノリブ組織をベースとしながらも、基本からの逸脱をはかった面白い編み地を見つけた。そこから構想がはじまった春と夏に着るニット。

 

完成したものは布帛からは程遠いどころか、がたがた、ごちゃごちゃしたような編み地のニットになっている。基本からの逸脱の範囲をゆうに越え、邪道ですらあるかもしれない。だが、ここから全く別の価値が生み出されるのではないか?そう直感的に感じ、そのかすかな感触を信じた。それは、いつも自分がものづくりをするにあたり重要視している視点なのだと再確認する。

 

 

 

 

例えば少し甘く編むだけで、糸を変えるだけで、組み合わせを変えるだけで、基本中の基本からは離れていく。影のように走るボーダーが、単純ではないそんな編み地の面白さをささやかに教えてくれるようだ。そして、この編み地だからこそ、春や夏の季節に快適に着れる新しいニットのカテゴリーを作り出してくれている。

 

 

 

 

光と影は表裏一体。

光が当たったその先の、影の部分を見つめてみると、見えなかった新しい姿形が顔を出すのは、ものづくりの場だけで起こるものではなく、日常の一瞬一瞬に潜む面白さだ。