「迷ったときは、501®に合うのはどれなのか、という基準で選べばいい」
ファッションの世界に入って間も無い頃、当時の上司から言われたこの言葉が頭の片隅にずっと残っている。迷ったときに立ち返るべき原点として提示される洋服というのはそうそうないが、ジーンズにおいてのそれは、きっと誰しもの頭の中に共通のものを描くことができるだろう。それだけに、デザインする側に立った今でも、その時の言葉と考えはたびたび自分の頭の中でこだまし続ける、大切な指標のひとつだ。
しかし、自身が好んで履いているビンテージジーンズについては、その周辺にある派生したモデルなどの、どちらかと言えばマイノリティとして括られるものも多いことに気づく。ビンテージショップに行ってもそんな存在についつい惹かれてしまうのは、自身の天邪鬼な側面が影響しているのかもしれない。
あえてサイズの選び方を変えてみること。ダメージをマイナスとして捉えるだけではない価値の置き方や、自分なりの直感や解釈で良いと思ったものを手に取ること。
普遍的なアイテムだからこそ、ビンテージの年代や希少性という情報や価値に左右されずに、自分だけの感覚や価値観で柔軟に捉えてみることが楽しい。そうして選び取ったものは、時にはこれまでと全く違う姿をしているようにも見え、同じ洋服でも別物に見えてこないだろうか。
何を着ているのか
ではなく
どう着ているのか、どう着たいのか。
だからこそ、ファッションは楽しい。
そんな原初的で本質的なことに気づかせてくれる原点のジーンズ。そんなジーンズが作りたかった。