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カシミヤが持つ美しい佇まいと雰囲気。軽さ。包み込むような暖かさ。
かれこれずっと、カシミヤのセーターが好きだ。

 

これまで幾度かカシミヤのセーターを作ってきたが、よりULTERIORらしいカシミヤセーターを作ってみようと考えたところから生まれた今回のセーター。どこまでも軽く快適な着心地を目指し、素材の持つ魅力を最大限に引き出すために、デザインはあくまでシンプルであるほうが好ましい。ただ、単純明快なシンプリシティでは足りないのである。

雰囲気そのものをデザインする。

 

そんな作業や思考が伴わなければならないと私自身は感じていた。

 

そんなセーターを作るために選択した手法は、膨らみのあるカシミヤの糸を使い、仕上がりサイズの何倍にも大きく甘く編んだニットを、たった一人の職人の手によって1枚1枚特別な洗い加工をして縮めていくというもの。単純な縮絨加工とは異なるこの特別な方法によって縮むセーターの縮率は、通常考えられるものをゆうに超えてしまう。それ故、リンキングに使う糸すらも全て同じカシミヤの糸にしなければならないほどだ。

そしてこの作業は、一つひとつ職人の手作業によって行われるために個体差が生まれ、厳密に全く同じものを作ることができない方法だ。だがそうすることでしか出せない風合いがあり、そうすることではじめて生まれる軽さがある。

 

 

 

 

 

 

あくまで見た目のシンプリシティを追求しながら、手間がかかることを丁寧にやる。


幾度かの試行錯誤を繰り返した末に完成したカシミヤセーター。

例え毛玉だらけになっても、大切にしたいと思える一着として特別な関係を築けるような存在でいたい。

それは、「これでいい」ではなく、「これがいい」と感じられるもの。

そんな存在を目指している。