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 土の色。樹皮の色。枝葉の色。

色彩を欠いた深い森の中に、月の明かりに照らされて鈍く光る赤は何が放つ色だろうか。

 

霧の中の不透明な空気。
森の香り、土臭さ。
土の奥深さに魅了されるのはなぜなのか。

 

 

 

 

 

『私たち人間にとって、“水”よりも“土”のほうが不思議な存在だ。深海については、月の表面よりわからないことが多いが、深い地中のこととなるとさらに研究が遅れている。もちろん、これまでにもたくさんの生き物が発見されたり、意外な事実が明らかになったりしてきたが、しかしそれは地中に隠されたたくさんの謎のほんの一部にすぎない。森林のバイオマス全体を見ると、半分は地面の下に含まれている。地中で生活する生き物のほとんどは、人間の目には見えない大きさだ。見えないからこそ彼らに関心がもてないのだろう。』

 

『ひとつかみの森の土のなかには地球上のすべての人間よりもたくさんの命が含まれている。ティースプーン一杯分の土だけでも、そこに含まれる菌糸の長さは一キロメートルを超える。これらすべての生物が作用し合い、樹木にとってなくてはならない土壌をつくる。』

 

 

*樹木たちの知られざる生活―ペーター・ヴォールレーベン