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定期的にやってくるアプリケーションのアップデートの知らせを目にし、私たちはほぼ無意識的に、指示通りにデバイスをアップデートする。それによって便利になっているはずのそれらのツールは、思いもかけずに使いづらくなっていることもしばしばである。便利が全てを解決するわけではない。便利が故の不都合も私たち人間にとってはいくつもあるのだ。その逆も然りで、不便はクリエイティビティに多かれ少なかれ影響を与えるもので、便利はその機会を摘み取る危険性もはらんでいることを私たちは忘れてはならない。不便の中で小さく発光する疑問の種があること、そしてそこから開花するアイディア、得られる新たなパースペクティブ。便利と引き換えに、私たちはそんなものを知らず知らずのうちに失っていたことに、気付くことすらできないでいる。

 

ファッションの文脈においても同様に、便利な服や気持ちいい服、快適な服は世の中に溢れんばかりに次々と生み出され、私たちの生活の中にある小さなストレスを取り除いてくれている。己の肌と世界との間を埋め合わせ、両者を滑らかにつないでくれるその一方で、便利で快適な服たちは、私たち自身がものを着るときに感じることや疑問を持つこと、考える機会を少なからず削いでいってはいないだろうか。

 

果たしてスムースであることが気持ちよさと同義なのだろうか。

がさりとしたテクスチャーや、凹凸のあるテクスチャーの中にも、気持ちよさはあるのではないだろうか。

目で、肌で感じるその微細でダイナミックで不思議で個性的なテクスチャーを求めて、今回のコレクションは構成された。