Skip to main content
衣服を修復し、長く愛用するための知恵として日本に古くからある縫製技法の刺し子。生地に厚みが出ることから、耐久性が備わるのに加えて保温性も向上し、その重厚な素材の美しさは時を越えて増していく。そんな刺し子をイメージして作られたシャンブレードビーは、刺し子生地特有の重量感を軽減し、より軽やかに身に纏うために考えられた。

 

ベースはビンテージウェアに見られるブラックシャンブレーやサージ素材をもとにした平織りのシャンブレー生地。2色の糸で表現された奥行きのあるネイビーとブラックの色もヨーロッパのワークウェアをイメージした色出しだ。そこにドビー織りで刺し子のテクスチャーを加える。混紡されたシルク糸のネップが顔を出すことで、格子に走るその織り柄はぼやけ、曖昧になる。ものごとをストレートに伝えないこと、少しの違和感を加えること、奥に隠れた色や柄や素材や表情をつぶさに観察して見出す視線、それらのULTERIORの根底にある価値観が加わったオリジナルの生地に仕上がった。

 

着飾ることを求めず機能美を追求した、ワークウェア。そこに、ものを長く使うための知恵である日本の刺し子のエッセンスを加えることで、ヨーロッパと日本の文化は融合し、そして新しい美しさが萌芽する。