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労働者のユニフォームの中にもジャケット、トラウザー、デニム、シャツとカテゴリーや種類は数多存在するが、ニットというカテゴリーにおいて考えるとき、まず頭をよぎるのがガンジーニットだろう。海で働く男性の作業着として生まれたそれは、油分の多い糸でぎゅっと密度高く編み込まれているため重く、それゆえに極寒の地で人々の命を守ってきたのである。そんなユニフォームから着想した春のニット。

 

用途の観点から必須であった重量感のある編み地は、街で暮らす我々の生活には不要になる。手軽に着れること、要するに洗濯が容易であることのほうが用途に即した洋服の姿であるように思う。扱いやすさはまるでカットソーのようであるが、それに比べるとニットの編み地のわずかに透けるような軽快さが上品な印象を生み出す。スラブ調の表情は再利用した落ち綿を使っているが故のニュアンスである。

 

ユニフォームは用の美を備えた特別な衣服であるからこそ、そこにどんな用が存在しているのかは、現代の我々がそれを着るときや作るときにも忘れずに考えなければならないポイントであるはずだ。必ずしもその用の美は不変ではない。時を経て、現代においてブラッシュアップされ、オリジンとはまた違った変化をしてもよい部分ではないだろうか。