“らしい”、”らしくない” という評価は、好評に取れることもあればそれと表裏で不評とも取れる。ただ、そんな“らしさ“という枠からときには脱却することで、ブランドに対する期待やイメージをいい意味で裏切ってみたかった。 作り方の発想はこれまでと変わらないが、見た目の感じ方においてはこれまでと異なる意外性を持たせたチェックシリーズにはそんな実験的要素が含まれている。
蒐集しているビンテージアーカイブに並んだある1着のフレンチのシャツにつけられた柄を見たとき、どうしてもフレンチらしさが感じられなかった。そしてそこにほのかに感じるアメリカの雰囲気。そんな相反する要素を感じ、デザインにも反映させた。
再現するチェック柄の生地は、綿の平織りでそのまま再現してもなんの面白さもないことから、メッシュの組織を用いてみることにした。本来この素材の特性でもある通気性を無視してあえて度目を詰めたり、微妙な凹凸感を調整して質感を出したりなど、幾度かの試行錯誤を繰り返した末に完成したウールメッシュ。そこには、うっすらと靄がかかっているような曖昧さをはらんだチェック柄が浮かび上がる。
フレンチのシャツなのにどこかアメリカンな要素がある-
メッシュなのに、冬でも着れる-
ULTERIORなのに、ULTERIORらしくない-
奥に閉じ込められているかのように見えるチェック柄はそんな相反する考え方を静かに物語っているようようにも見えてくる。