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最高級の食材を用いずとも、人々を笑顔にさせる料理を提供する料理人がいるように、最上級の素材を用いずとも人々を虜にする生地を生み出せる職人がいる。決して血統書付きのサラブレッドではないその生地にある不完全でいて完成された魅力は、織りの良さによって支えられており、その織りの良さによって生み出される唯一無二な風合いというものは、織機とそれを操る職人の手にかかっていると言っても過言ではない。

 

遠い過去から大切に使われてきた機械は、メンテナンスを繰り返し、別の機械から部品を移植され、ゆっくりと時を刻みながら動き続ける。その機械を動かすのは文字通り人の手である。技術を持った職人は、その継承を絶やさぬよう、また別の職人にその技術を受け継いでいく。人と機械、どちらもの力が結束して、過去から続く時間は今も守られている。つないできたからこそ見えるもの、表現できる素材、今という未来があることを、私たちは忘れてはならない。

 

 

 

過去からつながり、そして未来へつなげることのできるものとして、普遍性を求めたアイテムにその生地を落とし込んでいる。

 

毎日着るからこそ、タフに洗える素材のバランス。

着用を繰り返していくなかで変化していく風合いのバランス。

時代の流れに左右されず、どんなスタイルにも溶け込みながらさりげなく主張するデザインのバランス。

一見すると“何でもないもの”の奥に潜む光に焦点を当てたかった。

効率ばかりを追い求める世の中に抗うように、時間をかけた非効率な作業の繰り返しから生み出されるものをつないでいくことで、到達するものがあると信じて。