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異なる色の糸の組み合わせ、そしてその織りによって、ストライプやチェック、そのほか様々な複雑な模様は表現される。色表現はときに目の錯覚を誘導し、平面に描かれる絵や生地に本来存在していない立体感を生み出すことも出来る。色の力はそれを受容する人の感覚を、目を、巧みに操り惹きつける。

 

そんな色の力だけに頼ることなく、そこに実際に立体的な柄を表現したらどうなるだろうか。目に楽しい色表現や心地よいスムースな平面の生地が作り出す織り柄ではなく、織り組織の変化によってもたらされる立体的なストライプやチェック。それは、文字通りの手触り感を着る人に与えてくれるはずだ。ただし、そこに生まれた手触り感は、写真に撮り画面に映し出しても伝わらない。目には見えても、本当に感じるとることはできない。
生地という小さくも宇宙的な世界で繰り広げられるささやかな試みは、ほんのわずかな視座の変化や新しい体験や発見すらももたらしてくれるのではないだろうか。